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師匠に会いに行く 9 (生まれたあと)
☆「師匠に会いに行く」シリーズのはじめは→こちら

赤ちゃんが生まれ・・・
胎盤が無事に出て、臍帯をパパが切る。

今まで赤ちゃんとママをつないだ命の綱。
パパは「ここでいいんですか」と緊張しているのが
隣の控え室にいる私達にまで伝わる。

それから、そのままお母さんとお父さんと赤ちゃんはゆっくり過ごした。

生まれてすぐなのに赤ちゃんが抱かれたお母さんの胸の上から、
お母さんの枕元にいるお父さんを見上げて
赤ちゃんがお父さんと目合わせができている様子。

穏やかに生まれた赤ちゃんは、生まれてすぐ
それまでお腹の中でよく聞いていた声の持ち主である
お母さんやお父さんと、目合わせが出来るという。

パパさんが"はっ"と気がついて、
おばあちゃんに「生まれたよ」と声をかけにゆく。

上のお子さんは、赤ちゃんが生まれた頃に
ストンとまた眠りに落ちて起きてこないという。

おばあちゃんが和室にやってきて赤ちゃんをのぞいて
「わぁ、こんにちわ。赤ちゃん。おめでとう。」と声をかけていた。

ひとときおばあちゃんも一緒に過ごして、
上のお子さんのいる部屋へ戻っていった。
激しく泣く孫におばあちゃんも疲れきった様子。
その後は、上のお子さんと一緒に眠りにつかれたようだった。

そのまま、親子3人、しばらく過ごされた。
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その間、胎盤と出血の計測を助産師さんが行う。

私と師匠はそのお手伝い。

胎盤と会陰保護で使用したガーゼも合わせて
すべてグラムを測り、お産の際の出血量も計測する。

胎盤は、胎盤の重さ、胎盤直径、胎盤の厚さ、
臍帯が胎盤のどの位置から伸びているか、
臍帯の直径、長さなどもすべて計測して記録する。

また、今回の産婦さんと赤ちゃんの胎盤の子宮付着面には
白いポツポツとしたものがついていた。

胎盤の子宮付着部に石灰がたまりはじめていて、
こうなってくると早めに生まれたほうがいいのだと
助産院の院長が私に教えてくれた。
(今回の産婦さんは、予定日1週間前の38週6日でお産だった。)

そして、助産院の院長は私に
へその緒として臍帯を切った切り口を見せて下さり、
「ちゃんと三本血管が入っているでしょ、臍動脈2本、臍静脈1本ね。
臍帯の脈管は、静脈血と動脈血が逆なの知ってるよね?」と説明してくれた。
私も(一応知っていたので)「はい。」と答えた。
院長は「そっか、○○さん(私のこと)、子供も産んでるしね^^」と。

驚いたことに、今回のお産の分娩での(初期)出血は「53cc」
先にも記したけれど、中量で300〜500ccだ。
どれだけ出血をしなかったのかがよくわかる。
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その後、
「ママはお着替えさせてね。
赤ちゃんの計測しますよー。ちょっと預かるからね。」
とベテラン助産師さんが一度赤ちゃんを預かった。

ママから離れた途端また赤ちゃんが泣く。

やっぱりわかるんだねぇ・・・と思った。
ママのお腹の中で、ちいちゃい頃から聞いていたママの心臓の音。
そして感じていたママのぬくもり。
そこから離されたら"不安だ"と「いやだー。」とまた泣いている。

お父さんは赤ちゃんと一緒に
(お母さんも見えるように仕切りはないが)
隣の部屋へ行き赤ちゃんを覗き込んでいる。

その間に、助産院の院長と私と師匠でお母さんを着替えさせる。

師匠と私はあらためてそこで
「ご誕生おめでとうございます」と言って入室する。
生まれたばかりは、お母さんとお父さんと赤ちゃん。
その世界だけになっているから、
邪魔をしないように生まれたその場では言わないそうだ。

お母さんはお布団に横たわったままで
汗を拭いてあげ、新しい下着と寝巻きを着せてあげる。

助産院の院長が産婦さんの顔をまず拭いてあげた。
「あー、気持ちいい。」とお母さん。
大仕事を終えて、本当にご苦労様でした。と皆が思う。

汗を拭いてあげてから着替えを手伝うのだが、
「すいません。」と何度もそのお母さんから声が出た。

そうだ。自分でも出来るはずなのに、手伝ってもらうのが照れくさくて、
私も自身のお産の後の着替えの際、お世話になった助産師さんに
「すいません。」と何度も言ってしまったなと思い出す。

師匠が 「いいの。今はお姫様。
(出血するので)起き上がるのはまだ待ってね。
もう数時間たったら、
王子のおしめを取り替える"おしめさま"にならな。
今はゆっくりしとき。」なんて言っていた。

助産院の院長も「そうそう。」   ・・・ふとみんなで笑った。

赤ちゃんは体重3330gあったそうだ。
推定より随分大きかったらしい男の子。
アプガースコア(生まれた赤ちゃんの元気度)も
ベテラン助産師さんが記録をして、
ふたたび赤ちゃんが着替え終わったお母さんの胸元に戻される。

私達スタッフは隣の控え室へ退出。

そして、またゆっくり親子3人で過ごされた。
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赤ちゃんの誕生から1時間後と2時間後、助産師さん2人が
赤ちゃんの状態とお母さんの出血量などをみる。

赤ちゃんご誕生からの1時間後、2時間後、
お母さんにそれぞれ50cc程度の出血があるとのことで
助産院の院長から
「先生、一応お灸入れてくださる?」と控え室にいた師匠に要請あり。
止血・子宮収縮の灸をふたたび施す。
(つまり母子手帳への分娩時出血記入は
分娩直後+1時間値+2時間値の「150cc」ほどと随分少ない数値となる。)

赤ちゃんご誕生の直後の灸と違って、
産婦さんやパパさんとも会話が出来る。

師匠が「子宮をちいちゃくするお灸は熱いんよ。
でも、キュっと子宮が小さくなるからよくそれも感じといてな。
ここでしか感じれん事するから。」とお灸を施す。

その産婦さんも
「あっつぅ!でもほんとキュってなりますね!」と感動する。

パパさんもしげしげとよく見ている。
そのパパさんにママさんが「パパもしてもらってみたら?」と言う。
「え、俺はいいよ。」なんて言って笑う。

助産師の先生が
「そのお灸、すごいのよ。生むまで胸下まであった子宮が、
そのお灸で臍の3横指下まで
"キュッ、キュッ"て小さくしちゃうんだから。
だからね、うちでお産した人、出血少ないのよ。」

パパママ揃って「へぇ〜〜。」 (私も心の中では「へぇ〜〜。」と大感心)

一通りお灸も終えて
「さぁ、これで安心。
朝になって電車が動き始めたら私たち帰りますから。
今日は、ほんとうにおめでとうね。」と師匠。
私も「ありがとうございました。」

パパママからも「本当にありがとうございました。」
と声をかけられ、私と師匠はその部屋を退出する。

お灸を終え、しばらくしたら
上のお子さんとおばあちゃんの眠っていらっしゃる
入院するお部屋に親子三人で戻っていかれた。
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スタッフの控え室で仮眠を取らせてもらい、
電車の始発が動き出した頃、
助産院の院長とお手伝いにいらしたベテラン助産師さんに
お声をかけて、師匠と私、2人、静かにその助産院を後にした。

朝から師匠と私、テンションが高い。

感動したこと伝えたいことが一杯で駅まで歩きながら2人で語る語る。

師匠と私の乗る電車は反対方向なので改札口で
「じゃ〜また明日ね。今日はゆっくり休みなさいね。
明日はお灸教室だから〜。」

そう師匠が言ってお互いのホームへ別れた。

そうそう、師匠に会いに行った初日に
今回行った助産院で私の帰る日の午前中に
妊婦さん向けのお灸教室があり
「見学してみる?」との師匠の誘いに、私は「はい」と答えたんだった。

私が帰る日は午前中お灸教室に行って、
その足で新幹線に乗って八戸経由で函館へ帰るんだった。

そのお灸教室は、満員御礼で30分に4人予約が入っていた。
それを3人の鍼灸師が行うと聞いていた。

そのお灸指導も生活指導も鍼灸師と妊婦さんがマンツーマン。
バタバタと忙しく、かつ丁寧に。

1日目にご一緒した研修生のお一人が以前見学したらしく
「ほんとすごいから。」と言っていたお灸教室。

また胸が高まってきて、
「家に帰ってから眠れるかな。」と思いながら、
早朝の電車にゆられ実家へ向かう。
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結局興奮さめやらず、
実家には朝7時にはついたものの
実家の母や(泊まりに来ていた妊婦の)妹と
もう一人の(助産師をめざす)妹に
朝9時まで、お産のお灸のすごさを語ってしまった^^;
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結局バタバタと帰省した5日間を過ごし、
ほぼ実家におらず、また函館へと帰る私。

きっと半年帰省する間もこんな感じになるのだろうなと
思いながら、遅い睡眠をとった。
| 産科鍼灸の師匠に出会う | comments(4) | -
コメント
◆心海ママさん
命の誕生に立ち合わせていただくって
本当にすごいことですよね!
立ち合わせていただいたあとゆっくり後から
「私はこの子の誕生をみとどけたんだー。」
とジワジワ感動が溢れてきたのを覚えています^^

22日は心海ちゃんの2歳のお誕生日ですか!
[キラリ]おめでとうございます[キラリ]
心海ママさんは、お仕事復帰されたんですね。
不安に思うプレママさんの強い心の味方
となっているママを見てきっと心海ちゃんも
お空の仲間にご自慢されていると思います[ニコ]

辛い経験はあったけれど、それを忘れずに
反対に活かして誰かの支えになれること。
それは天使たちも喜ぶだろうし、
残されたものとしても最高の事だと思います。
お互いその事に向き合えること。
それに感謝してよき仕事をしてゆけたらいいですね☆
| なちゅら→心海ママさん | 2006/07/21 11:35 AM |
◆かもめさん
ありがとうございます!
臨場感も感じていただけたでしょうか^^
ホント東洋医学って素晴しいです!お灸って素晴しいです!
私達鍼灸師の出来ることは
まだまだあるって事なんですよね。
ちなみに「経営から考えても
お産の患者さんは金の卵やー。」と
師匠が言ってました。
妊婦さん→パパ・おじいちゃんおばあちゃん・お子さんの小児鍼・ご友人(妊婦友達とその知人)
先々につながる事も考えると経営面から
考えてもよき分野かもしれません^^
| なちゅら→かもめさん | 2006/07/21 11:16 AM |
お疲れ様ですm(__)m出産って本当に神秘ですよね〜その場面に立ち会える仕事が出来るってありがたいと思います。いっきに出産偏読ませて貰いました。私はあさって心海の二歳の誕生日と言う事もありなんだかソワソワしてます。そんな中で今日私の勤務する病院に検診に来た妊婦さん…29Wで胎児死亡の診断が下り大学病院へ…私は外来ではないので聞いた話ですが…明日もう一度エコーし夕方から促進剤をするらしく誕生日が心海と同じ…なんだか複雑で。。。
| 心海ママ | 2006/07/20 10:00 PM |
なちゅらさん、本当にありがとうございます。
まるで私もその場に居させてもらったような感動を受けています。
お灸ってすごい!東洋医学って素晴らしい!
今更ながら、自分がこの道で仕事をさせてもらっていることに感謝したくなりました。
なちゅらさん、すばらしい師匠にめぐりあいましたね。
頑張って、師匠のすべてを吸収して立派な産科鍼灸師になってください。
応援していますよ。
私もなちゅらさんのブログを通じて少しでも勉強させていただきます。^^)
| かもめ | 2006/07/20 9:51 PM |
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