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師匠に会いに行く 8 (本能の絶妙さ)
☆「師匠に会いに行く」シリーズのはじめは→こちら

・・・このことが本当だという事をのちに知る。
上のお子さんは、本当に赤ちゃんが生まれてくるまで
ずーっと泣いていた。
大丈夫だろうか??と思うくらい、
1時間も大声で泣き続け、生まれたら"ピタっ"と泣き止んだ。
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0時50分。

産婦さんの声が一層変わった。あぁ、いよいよ生まれるな。とわかる。

その声から子宮の収縮と伴に赤ちゃんがおりて来ているのがよくわかる。

赤ちゃんもママも頑張ってる。そう私も感じた。

ここでは息まない。まずは、自然な流れに従う。

助産院の院長が会陰保護をしながら赤ちゃんの頭を確認する。
陣痛の合間に助産院の院長が産婦さんと会話する。

「赤ちゃんの頭が見えてきたら、触ってあげるのよね。
(手を指示してあげて)こう触ってあげてね。
生まれたら赤ちゃんの脇にしっかり両手を回してあげて
しっかり胸に抱くのよ。」と再確認をする。

私と師匠は産婦さんの足を冷やさないように私達の手で温める。

この仕事柄、鍼灸師も助産師さんも手が温かいのだと話す。

師匠が私に、
「生まれたらすぐ子宮収縮の灸するからね。
すぐ(灸をするための)線香に火をつけれるようにしてね。」と言う。
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午前1時。

自然な陣痛による子宮収縮だけで、赤ちゃんの頭が見え隠れしてきた。
どうやら頭がひっかかってすんなり発露にはならない。

パパさんが
「上の子も頭が大きくてなかなか頭が出なかったんです。」と答える。

助産院の院長が「少し息んであげよっか。」と伝える。
そして、院長は師匠に「三陰交してもらえますか?」と指示。

私達鍼灸師は、ひたすら三陰交を揉ネツ(じゅうねつ:揉むの意)する。

きちんと取った(←ここ大事)その妊婦さんの三陰交を
揉ネツすることで会陰が柔らかさを増す。

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私自身のお産の経験と照らし合わせて、発露になるにしては、
陣痛の合間が随分あるなぁと感じた。
その理由は、赤ちゃんが生まれてから知る。
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産婦さんは横向きであるので、
助産院の院長は会陰保護、
お手伝いに来たベテラン助産師さんは浮かせた片足をかかえ支え、
その足先を師匠、布団につく側の足を私が支える。

足を支えながら師匠と私は、ひたすら三陰交を揉ネツ。

「次の陣痛が来たら、少し息んであげよう。
背中を丸くして、お臍覗き込んであげてね。」と院長が言う。

陣痛が来、息んでみるが息みが逃げて赤ちゃんは見え隠れ。

合間に息みがもう少し有効になる方向などを助産師さんが指示する。

思わず私も「私の手、もっと蹴っていいですから。」と口にした。

その後の陣痛で、急に息みが上手になった。

みんなで「上手、上手、上手〜。」

やっと発露した。
助産師さんが「赤ちゃんの頭、触れるよ。触ってあげて。」と導く。
お母さんは「あぁ、赤ちゃん、もうちょっとだよー。頑張ってー。」
と言葉が出る。

(上のお子さんはこの間もワンワン隣の部屋で泣いている。)

後は陣痛の子宮の収縮に任せる。

赤ちゃんの顔が出てきた。

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赤ちゃんの肩まで出てきて、
なぜ頭が出るまでの生まれる!という時に、陣痛に間があくのかわかった。

赤ちゃんは、首にタオルをかけるように臍帯を背負っていたのだった。
いわゆる臍帯巻絡(さいたいかんらく)。

妊娠後期に入ったばかりの頃、この妊婦さんは
お腹の赤ちゃんが横位で、師匠の治療を受けていた。
その後、きちんと頭位になり、お産となったのだった。

その理由も、お産のすすみ方も、これでよくわかった。

産道と赤ちゃんの体の間に臍帯があるので
ちゃんと血流と酸素を赤ちゃんに送りながら
生まれ出てくるために、多めに陣痛と陣痛の合間をあけて
急激には陣痛が来ないのだ。

それを(お母さんの意識下にはないけれど)
お母さんの体自身がわかっていて、
赤ちゃんが一休みしながら生まれるように
絶妙にお産のホルモン分泌が調整されて、子宮収縮の合間をおいた。

"すごいなーすごいなー"と一人で感心してしまった。
自然は絶妙なコントロールをしてお産に導くのだなぁと感じた。
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肩が出たくらいの時、
すぐベテラン助産師さんが手動で羊水を吸い赤ちゃんが泣く。

「ほぎゃーほぎゃー」と赤ちゃんが啼いて、"まっ赤っか"になった。

すぐに院長がお母さんの手を導いて"するっ"と出た赤ちゃんを抱かせる。

そう。一番最初に赤ちゃんを抱いたのは生んだお母さんだ。

仰向けになったお母さんの胸にカンガルーケアで抱かれる。

お母さんもお父さんも感無量。

私も赤ちゃんが産声をあげた途端ウルウルしてしまった。

ベテラン助産師さんが「1時14分ご誕生」と落ち着いて答える。

・・・つまり、師匠の脈診し予告した通り。
前日の夜8時すぎに灸して脈診して、
5時間後の翌日午前1時に生まれたのだ。(驚き!!)
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会陰切開のないお産では、お母さんの出血がないので
赤ちゃんに血がつくこともない。
"つるん"と生まれ、よく体を動かしたお母さんのお子さんは
白い体脂もついておらす、タオルなどで拭かずとも
ほんとうにきれいな赤ちゃんだった。
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その感無量のそばで、それどころではなく
とっさに私達は子宮収縮の灸をする。

後産(胎盤の排出)をすすめるお灸と
弛緩出血をしないようにお灸するのだ。

私達の出番をせっせとこなす。

すると、すんなり胎盤が自然に出てきた。

後は、助産師さんの仕事。

助産院の院長が胎盤の処置をし始めて、
私達は静かにその部屋を一旦出る。
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